
集英社の「ジョジョの奇妙な物語」の作者である
人気漫画家荒木飛呂彦は、取材の撮影を終え帰る準備をしていた。
彼が一人で駐車場に向かっていると、一組の夫婦が彼に話しかけてきた。
夫婦は彼の今までの功績をたたえた後、自分の娘は重い病気にかかって死に掛けているが、
お金がないために、手術をする事ができないのだと彼に伝えた。
それを聞いて哀れに思った荒木飛呂彦は「これが子供のために役立てば良いのだけど」
といって、1億3000万円の小切手を夫婦に渡した。
翌週、彼が仙台で原稿を書いていると編集者がやって来た。
「先週、駐車場にいたファンが、荒木飛呂彦さんが中年の夫婦に会っていたと言っていましたが・・・」
荒木飛呂彦はうなずいた。
「実は」と職員は続けた。
「あの夫婦は有名な詐欺師で病気の女の子なんていないんです。飛呂彦さんはだまされたんですよ」
「じゃあ、死に掛けている女の子なんていないの?」
「そのとおりです」
すると、荒木は笑いながらこう言った。
「そうか。そいつは今週で一番の良い知らせだ」
いい話